なぜ音楽業界はヤバいといわれるのか 権利編その1

今回のお話

どうもやまりょうです。前回に引き続き、今回も音楽業界の現状を見ていきたいと思います。

今回は音楽の権利をめぐるお話です。

ミュージシャンによって作られた楽曲には、様々な権利関係が発生します。

ですが今日の日本においては、音楽の楽しみ方が多様化しました。

それによって従来の法律では説明できないようなことが次々と現れることになります。

キーワードは、

ルールの複雑化

著作権管理団体

です。

本題に入る前にいくつか事前知識を入れておきましょう。

ちょっと退屈かもしれませんが、音楽業界を理解するうえでは重要なポイントですのでぜひ理解していただきたいです。

音源に存在する3種類の権利

音源には3種類の権利が存在します。

それらは

  1. 著作権
  2. 実演家の著作隣接権
  3. レコード製作者の著作隣接権(原盤権)

の3つです。

それぞれについて見ていきましょう。

1.著作権

これは耳なじみのある言葉だと思います。

ですがその実態についてはよく理解できてない方も多いのではないでしょうか。

端的に言えば、著作者が自分の作品に対して持つ財産権といえるでしょう。

すなわち作ったものを他人の不正使用から守るわけですね。

 

では著作権を持っているのは誰でしょうか。

当然音源の作詞・作曲者はこの権利を持っています。

ですがそれ以外にも著作権を持つことが出来る存在がいます。

それが今回の主役の1人である音楽出版社です。

2.実演家の著作隣接権

これに関しては知らない人が多いでしょう。

まず言葉が難しいのでそれぞれの言葉を解説します。

まず実演家。これはアーティストのことです。

法律上実演家という言葉が使われているのでちょっとわかりづらいですが、知っておけば何と言うことはありません。

 

そして問題はこっち。著作隣接権です。

これは著作物の創作には関わっていないが、その伝達において重要な役割を果たす人や団体に与えられる権利です。

例えば作詞・作曲者が作った曲を歌手が歌う場合。

歌手は曲の創作に直接かかわっているわけではないですよね。

しかし歌手も表現者としてその著作物を広めるのに貢献したわけですから、権利が与えられて然るべきでしょう。

そこで著作権と同じようだけれど、それよりは少し弱い権利として著作隣接権が認められたということです。

 

以上の2点から、実演家の著作隣接権とは、アーティストが持つ、著作権っぽいものと解釈していいかと思います(笑)

3.レコード製作者の著作隣接権(=原盤権)

通称「原盤権」ともいわれるこちらの権利。少々注意する必要があります。

というのも「レコード製作者」という言い回しが少々分かりづらいからです。

普通に考えるとレコード会社のことかと思うかもしれませんが、それでは不十分です。

「レコード製作者」とはレコーディングに関する費用を出した者のことです。

レコード会社だけでなく、アーティストやミュージシャンが所属する音楽事務所や音楽出版社などが当てはまります。

そのため複数の組織がこの原盤権を持つこともある(というかその方が多い)ということになります。

許諾権と報酬請求権

もう少しだけ用語の説明を。

音源に対して3つの権利が発生することを確認しました。

これらは誰が権利を有するかということに着目しています。

そのうえでそれらの権利は許諾権と報酬請求権の2種類に分けられます。

つまりどのように権利を行使するかの違いです。

 

許諾権というのは、著作権や著作隣接権を有する者が別の人間による音源の使用を認めるかどうかを決めることが出来る権利。

逆に言えば権利者の許可を得なければ楽曲を使用できないということですね。

楽曲を使用するたびに毎回権利者の承諾を得なければなりません。

 

報酬請求権は、決められた手続きを踏むことで使用者は自由に音源を使用することが出来、権利者はそれに対して使用料を請求できる権利を有するというものです。

著作権や著作隣接権がこの2つのどちらとされるかによって音楽ビジネスは大きな影響をうけます。

 

複雑化する法制度

前提知識を理解したところで、いよいよ本題に入ります。

音楽ビジネスは色々な権利関係によって規定されています。

しかしそれらの法律は必ずしも時代に合ったものとはいえず、様々な問題を引き起こします。

インターネットラジオの例

例えばインターネットラジオもそうした問題を抱えるものの1つです。

先ほどの許諾権と報酬請求権をもう一度思い出してください。

私たちの身の回りにあるテレビ、ラジオなどでは様々な音楽が流れますね。

ではその際、どのようにして音源の権利は行使されるのでしょうか。

これが場合によって変わる中々複雑な状況なんです。

 

例えば、テレビやラジオのオンエアの際には、テレビ局や放送局は自由にCDの音源を使用することが出来ます。

それはレコード会社や実演家の著作隣接権が報酬請求権と規定されているためです。

その理由としては、放送というのは多くの人が聴く公共的なものであるため、自由に楽曲が使用できる方がいいと考えられたためです。

日本民間放送連盟(民放連)が日本レコード協会、実演家団体(CPRA)とそれぞれ交渉し、音源の使用料を決定しています。

ですが放送された番組をDVD化して販売する場合、それぞれの音源について個別に権利者の承諾を得る必要があります。

その理由としてはDVD化という行為が法律上でいうところの録音にあたるためです。

これを報酬請求権として認めてしまうと、CDの音源を録音して販売することも良しとしてしまいますよね。

なのでDVD化を前提とする番組(ドラマなど)ではオリジナルの楽曲を使用することが多いんです。

 

一方インターネットの世界ではどうでしょうか。

インターネット上での音源利用に関しては、日本は許諾権のスタンスを取っています。

すなわち利用するたびに個別に許可を取る必要があります。

「インターネットだって多くの人が利用する公共的な存在じゃないの?」

と思いますよね。

ですが法律においてこれは「通信」の延長線上として捉えられています。

通信という言葉は個人間で行われるものと考えられているために、許諾権が適用されたわけです。

 

長い間日本ではこうした問題からインターネットラジオという文化が育ちませんでした。

しかし最近ではradikoというサービスが広まってきています。

インターネットでラジオを聴けることが出来るこのサービスが実現しているのは、「サイマル配信」という形をとっているためです。

サイマル配信とは、同様のコンテンツを異なるメディアで同時に配信するというものです。

すなわち、インターネットを経由していても放送をしているのは放送局であるから、放送として扱ってオッケー(報酬請求権が認められる)ということです。

なんだか言葉の綾って感じですよね。

 

 

ちょっと長くなりそうなので記事を分けたいと思います(笑)

読んでいただきありがとうございます。

 

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